『STEAM』Gauntlet初プレイ感想

新生『Gauntlet』がSTEAMにて発売開始となった。

アクションRPGで所謂ダンジョンクローラーと呼ばれるジャンルのゲーム。
新生と銘打ってある通り遡れば1985年に稼動開始されたアーケードゲームらしい。

【初代Gauntlet】

私の周りにも当時を知るプレイヤーがおり「大当たりの正当進化」との事。
勿論前作を知らない人でも楽しめるのでご心配なく。

ゲームの内容は正当派のダンジョンクローラー。
大量のモンスターとトラップ、様々な仕掛けが施されたダンジョンを奥へ奥へと進んで行くゲームである。

基本的には敵の攻撃やトラップを受けずにフロアを探索する。
プレイヤーはかなり打たれ弱いので敵に囲まれるとすぐに死んでしまう。
即死に近い攻撃も多いので気を抜いている暇はない。
見下ろし型で敵を薙ぎ倒して行く爽快感は『Diablo2』の感覚を彷彿とさせる。
体力が減ったらフロア内にある食料を探し回復する。
極力死なずに出来るだけ多くのゴールドを回収し次の階層を目指して行く事になる。

プレイアブルキャラクターはWarrior、Valkyrie、Wizard、Elfの4種類。

キャラクターにはそれぞれ個性があるがこの個性が争いの火種となる。
詳しくはマルチプレイと一緒に書くが”隣の芝は絶対青い“がこのゲームの真髄だと思われる。
操作は通常攻撃1・通常攻撃2・スキル・特殊行動の4つに様々な効果は発揮するアイテム欄が2つ。
ゲームパッドに最適化されており、パッド操作を選択すればゲーム内の操作ヒントも全てパッドのボタンで表示してくれる。
コンシューマーからの移植でSTEAMにて販売されているゲームに時々あるのが操作ヒントで「×ボタンを押せ」と書かれてもどれに連動しているかピンと来ないもの。
その点しっかり「Aボタン」などの記述で教えてくれるのは嬉しい。
これによる弊害なのかキーコンフィグの項目が見当たらず変更する事が出来なかったのは残念。

まだまだ触りの段階なので詳しくは見ていないがマスタリーという項目やゲーム内で集めたゴールドで取得する装備やアイテムがこのゲームでは積み重ねの成長要素となるようだ。
装備についてはキャラクター別なのでゴールド集めに周回という遊び方も出来るだろう。

『Gauntlet』はマルチプレイにも対応している。
むしろ私は最初からマルチプレイだったのでソロでの『Gauntlet』の感想は持ち合わせていない。
最大4人で力を合わせてダンジョンの最奥を目指せ!“などありきたりなコメントが書かれそうな想像に容易いゲームモードであるが、このような事が書かれているのであれば嘘である。
嘘は言いすぎかもしれないが”みんなで力を合わせて!“が通用するのは聖人4人が集まってニコニコしながら『Gauntlet』をプレイした時だけであろう。
汚い大人の騙しあいと利益の独占が入り混じって殺伐とするマルチプレイ。

「最奥目指すために自分の利益をひとまず置いて協力しようよ」とのたまう奴がいればそいつは嘘付きだと思って掛かった方がいい。
ここで『Gauntlet』のマルチプレイが協力ではなく対戦である理由を整理していこう。

①回復アイテム・ポーションなどは全て取った者勝ちである。
②探索終了時のリザルト画面で取得ゴールドと討伐モンスターを合わせたスコアではっきりと優劣が決められる。
③マルチプレイ時も共有の一画面内でしか行動出来ないので他のプレイヤーを邪魔する事が出来る。

なんとも恐ろしいゲームである。
回復に関しても他人のヘルスの減り具合は判るがそんな事に構っている暇は無い。
体力満タンだろうがお構いなしに食ってしまう奴は出てくるし、自分の物にならないのであれば壊してしまえと言う奴も出てくる。
このゲームの回復アイテムなどは攻撃すれば壊れてしまうのだ。
やっと手に取れそうな回復アイテムを後少しの所で遠距離攻撃で壊された時には人はこんなにも汚くなれるものなのかと呆然とした。
そして人は汚い相手には汚い手段でしか対抗出来ない事を学ぶ。

②のリザルトの要素は開発者の意図が手に取るように判る。
他の奴にスコアで負けたくなければ回復を渡してはならない。
どうせ死んだって生き返る事が出来るんだから問題ないだろう。“と。
リザルトの結果によって分配がどうなるかはよくみていなかったが、
もうこうなると他のプレイヤーに回復アイテムなどを融通してやる理由がビタ一文浮かんでこない。
なぜなら他人は死んでくれた方が美味しいのだ。

そして③のマルチプレイでも一つの画面を共有する事になる。
これはそれぞれが一つの画面内に収まる範囲でしか単独行動が出来ない『ファイナルファイト』で起こった現象によく似ている。
グループの最後尾から付いていき先頭のプレイヤーがトラップ床を越え始めた半ばで動くのを止める。
すると先頭のプレイヤーは前に進む事が出来ずトラップ床で串刺しになる。
心の底からスーっとする瞬間である。

そしてマルチプレイで確執を生む要因であるキャラクター感のバランス。
マルチプレイ時は同一キャラクターを選ぶ事は出来ない。
しかしこのキャラクターの特性でアイテムの取り易さに大きな差が生まれる。
個人的に一番の外道キャラがValkyrieである。
通常攻撃2が即時発動でダメージ付きで連射可能のダッシュ攻撃を持っている。
これによりアイテムの確保が容易でWarriorを使っている人間からしたら殺意の感情以外に何も沸いてこない。
それぞれのキャラクターにダッシュやブリンクなどは用意されているが連打出来てダメージ付きはこれだけ。
Warriorに関しては溜めが必要である。
開発者は何を考えているんだと思ったが実際は心の底から手を取り合って探索して欲しかったのかもしれない。
無理だ馬鹿。

利益を得るためには誰よりも早くお目当ての物までたどり着かなければならない。
しかしそのお目当ての物の前にはモンスターやトラップが待ち構えている。
そのモンスターを他人に押し付けるなり誰よりも早く殺すなりしなければならない。
不本意ではあるが大量のモンスターを協力して倒さないとならない場面も出てくる。
そんな時に少しの連帯感を感じるかもしれないがそれは夢幻である。

周りの奴らはゴールドやアイテム、他人の死にしか興味がないと思ってプレイするべし。

仲良くプレイできる自信があるなら挑戦してみて貰いたい。
絶対無理だと確信している私に人間の本質は善なのだと教えて欲しい。
あまり仲良くないプレイヤー同士で遊ぶのはお勧めしない。
溝が深まるばかりである。

冗談のようで本気で言っている恐ろしいゲーム『Gauntlet』。
兎にも角にも面白いゲームである事は間違いない。
真の友情を試すも良し、とことん競い合うも良し。

挑戦してみる価値のあるゲームである。